結局、今回の移動もビアスールだ。
 バラデロにいったん出てから、タクシーでマタンサス市街に出る予定。
 以前はなかったサンチアゴ-バラデロ線。
 3年前までサンチアゴからバラデロまでの移動は、仕方なくトリニダに出て、そこでタクシーを拾ってバラデロへと向かうのが常套手段だった。

 1:30。
 予約通りにタクシーの迎えが来る。
 1:45、ビアスールとアストロの共同バスターミナル着。
 4CUC。
 ここカマグエイのバスターミナルでは預け荷物の重量を計る設備がない。
 また残念ながら荷物を預ける時、サンチアゴと同じように1CUCを請求される。
 今回もチップは出さなかった。
 これはどう考えてもおかしいもの。

 待合室にいると、結構頻繁にバスはやって来る。
 どうやらアストロのバスのようだ。
 以前はアストロのボロボロバスにピカピカのビアスールバスってイメージがあったけれど、今やアストロのバスもビアスールバスと同様にピカピカだ。


 バスから外に出てたばこを吸う客が多いから、待合室まで煙草臭くなり大変に不愉快だ。

 2:10にはいったん全てのバスがターミナルから離れていった。

 そう言えば、サンチアゴ-バラデロ線だとばかり思っていた路線は、サンチアゴ-ハバナ線がバラデロにも立ち寄るようになったものの様だ。
 便の終点はハバナだと告げられる。

 その後もアストロのバスはひっきりなしに到着する。
 ピカピカとは言ったけれど、どうやら中国製のバスのようだ。
 知らないブランドだが、安全性は大丈夫なのか。

写真:アストロは中国製ユトン
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ちなみにビアスールのバスはベンツだ。

写真:ビアスールはベンツ
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 バラデロの行き先表示を付けたビアスールのバスは、2:35にターミナルへとやってきた。

 再び荷物管理室の黒人係員に呼ばれる。
 0.25CUCでもいいからチップをよこせとしつこく要求してくる。
 それをも断ると、彼は彼の仕事を放棄した。
 つまり荷物は客の手自らで運べと。
 それはそれで全然構わない。
 わざわざ預けた荷物を、荷物管理室から自分自身でバスの荷室まで運ぶ。
 彼、このビアスールにはふさわしくない男だな。
 腐ってるよ。

 なんと、行きのバスで世話になった乗務員フェルナンドが乗っていた。
 何とはなく心強い。
 2:45の予定が5分遅れ、2:50にバスはカマグエイを出発した。
 これで一安心だ。
 体がだるい。

 7:20。
 集落が大きいなと思っていたらビージャ・クララ州々都、サンタ・クララのターミナルに到着した。
 ここで朝食のために15分の休憩をとるという。
 ここでいったんバスを降りてみると変な取り決めがあって、一度外に出てしまうと出発の瞬間までバスには入る事が出来ない。

 ビアスールバスのシートピッチはやたら狭い。
 普通の夜行バスがもっているようなピッチではないと感じる。
 前席をリクライニングされると、決して大きくない私でも膝の辺りがキツい。
 しかし不運な席だった。
 上部にあるエアコンの吹き出し口が壊れて丸々穴になっていたものだから、冷風がびゅうびゅうと吹き付けいつもに増して寒かった。

写真:壊れたクーラーの吹き出し
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 ブラジルの長距離バスでもそれが常識だったけれど、ここキューバでも15分休憩と言われたら、その倍の30分間は停車しているようだ。

 7:50ちょうどにサンタ・クララのターミナルを出発。

 11:05バラデロ着。
 バラデロ付近の景色は相変わらず華やかできれいだ。
 ターミナルで電話をしていると、乗務員のフェルナンドがマタンサスへは同じ便でチケットを買い直せば行ける事を教えてくれる。
 11:20発で6CUC。
 タクシーの半額だ。
 なぜかこの便は自由席らしい。
 しかし、同じ便で同じビアスール、カマグエイのクーバツールではマタンサス行きの切符を求めたのに、それがダイレクトに買えないところがキューバだ。

 マタンサスまでは36km。
 今までバラデロから首都ハバナへと帰るタクシーで市街の縁を通った事はあったけれど、セントロの奥深くまで入り込んだのは初めてだ。
 マタンサスのターミナルでバスを降りてフェルナンドとお別れの挨拶をする。
 すぐに宿を紹介するという青年がやって来たが、フェルナンドがバスの中から「ダメだ、ダメだ」と合図を送ってくるので、不安になったから彼について行くのはやめにした。
 ガイドブックで見つけておいた宿に電話をかけて予約をした上、青年の呼んでくれたタクシーに乗ってその宿へと向かう。
 彼に何のメリットがあるのか、わけがわからない。
 タクシーの料金は宿に電話した時に相場を聞いておいたので、タクシーのチョフェは始め五割り増しを要求してきたけれど、すぐに割り増しなしの料金で納得してくれた。

 宿は街の中心、リベルタ公園から1ブロックの大変便利な場所にある。
 2つ部屋を持っていて1階はエアコン、もう一つはらせん階段を登った上にある風通しの良い部屋だ。
 風通しに飢えていたから、今回は思い切ってエアコン無しの部屋にした。
 3泊の予定。

写真:部屋の内部
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写真:宿の螺旋階段
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 街に出ると、図書館の前でかわいい娘と話をする。
 携帯を持っていて、リッチで聡明そうな子だ。
 街の事について色々と話をしてくれる。
 せっかくだからと、写真を撮ってお別れする。
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 今度は黒人の青年がやってきた。
 彼の名前はダニエル。
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 ロス・ムニェキートス・デ・マタンサスのディレクトールが知り合いだというので付いて行く。
 はたしてディレクトール、ディオス・デドゥの家はリベルタ公園からそう遠くはないところにあった。
 2007年にはクーバディスコの賞を取ったそうだ。
 ライブがないか聞いてみるが、日曜日からカナダへ演奏旅行に出てしまうという。
 残念だ。
 メンバーのイバンも一緒にいた。
 しばらくルンバのDVDを鑑賞させていただく。
 ダニエルと一緒においとまするが、彼はそのまますっと別れて自分の家へと帰って行った。
 不思議だ。

写真:ディレクトールの家の飾り
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 いよいよ何もなさそうなので、バラデロやハバナに電話して宿の予約を変更しようと公衆電話を探していたら、今度は白人の大学生につかまる。
 教会の中へと案内してくれた。
 キューバの守り神を祭ってあるという古い教会。
 カテドラル・デ・サン・カルロス・ボロメオ。
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 スペイン人による街の建設が始まったのと同時に1693年、この教会は建てられたと説明された。
 色々と話をしてみると、彼は日本についてかなり詳しい。
 キューバを旅していると、この国の人々の日本への関心の高さをしばしば感じる事がある。
 彼は続いて市場やサン・ファン川にかかる二つの橋などを案内してくれた。
 歩き疲れたので少しカフェで休憩する。
 彼は帰る時に、ガイドしたんだし、食べるのに困っている、いくらか金をくれないかと言った。
 それが外国人に声をかけてくる普通のキューバ人だと思っているけれど、今回はさっきの娘のように、何も要求しない人たちに多く出くわしている。

 彼と別れた後、テルミナル・デ・ナシオナル(ビアスールの発着所)まで歩いて行った。
 明日のチケットは買えなかったが、バスの時間は教えてもらった。
 バラデロ行きは10:05、14:05、20:05の3本だ。
 逆にハバナ行きは8:50、12:20、18:50の3本。
 バラデロの空港へはバラデロ方面行きのバスに乗る。

 バラデロとハバナの宿に日程の変更を電話で伝える。
 キューバで宿の予約はダイレクトが便利だ。
 エージェントを通すと変更等の融通が利きづらいし、またコミッションを取られる場合も多い。
 直接の次に良いのは、クーバツール等、キューバ国営のエージェントを通す事だ。
 この場合もコミッションは取られない。

 宿に戻り、大変申し訳ないけれど2泊キャンセルしたいと告げる。
 宿では快く対応してくれた。
 ありがたい事です。
 ロンプラに載っている、街中にある宿です。

 ノドが渇いたのでエル・ラピドに行ってみた。
20070629Rapido.jpg

 道中、そして店内で色々な人に話しかけられるが、この街の人々はなぜかまったくしつこくない。
 教育が良いのだろうか、それともマタンセーロ(マタンサス人)の気質なのかどうか。
 しかし、どうも英語を話したがる人が多いのには閉口する。
 問いかけられればそれは理解できるけれど、喋りたくない言語だ。
 戦後60年以上経った今でも喋りたくない言語だ。

 黒人と白人の二人組に引っかかる。
 途中、場所を代えてまで話し込む。
 これがまたビールを2本ほどおごってもらった。
 もちろん私も彼らにおごったけれど、対等だ。
 職業は何なのか聞きそびれたけれど、興味のあるところだ。

 宿に帰るとみんな寝静まっているようだった。
 申し訳なく思いながら呼び鈴を鳴らす。
 約24時。

 シャワーを浴びた。
 今回の旅で初めて水がなくなった。
 ここの部屋にはタンクが一個しかなかったので心配はしていたが、しばらく断水がなかったので油断した。
 3度のシャワーに一度の洗濯、それに3度ほどのトイレで断水だ。
 ちょっとキャパが少ないと思う。
 明朝になれば、また水道が供給されるだろう。

写真:シャワーの上付近に取り付けられた水タンク
20070629Tanque.jpg


 明日はいよいよバラデロだ。
 これはほぼ純粋な休暇に近い。
 本当はもう少し先の予定だったのが、今期マタンサスで音楽が聴けない事がわかってしまった以上、ここに長居してもあまり意味がない。
 早めにバラデロを通過して、ラテン音楽の首都、ハバナに予定よりも長居する事にする。

DrumStudio LA FIESTA
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