なぜ戦争をしてはならないのか、戦争の現場とはどんなものであるのか、これら作品は戦争の悲惨な面を読むものに伝えてくれる。

 今、私たちが生きる社会の縮図であるかのように、軍の中においても犯罪は起こり得るものであり、その現実は苛烈であろう事をよく知らしめてくれる。
  
 「野火」は、死と紙一枚隔てて隣り合わせにいる主人公の、その心の動きを精緻にあらわした素晴らしい作品である。「俘虜記」はもしかしたらいささか退屈に感じる人もいるかもしれない。

 今年、お隣の国々の持つ反日感情の凄まじさを見せつけられた今であるからこそ、これら作品を今一度読み直してみるのも意義深い事でしょう。いざ戦争が始まってしまったら、大変苛烈な現実が待っているのです。これら小説に書かれているような肉弾戦の可能性はもう現代の戦争においては少ないかもしれないけれど。
 
 私たちはあるゆる手段を講じて戦争を回避しなければならない。彼らと手を取り合って生きていかなければならない。事実に基づいて、戦争の火種となるような事案を早急に解決しなければならない。
 なぜこういった事柄が今回選挙の大きな争点とならないのか、私には不思議でなりません。

「野火」大岡昇平-新潮文庫
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「俘虜記」大岡昇平-新潮文庫
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