リスボンの朝も遅い。
マドリッドほどではない。
はっきりとした日の出はわからないけれど、7時頃にはかなり明るい感じだ。

本日は古都シントラやヨーロッパ最西端のロカ岬などを訪ねてみたいと思う。
ロカ岬、地元ではホカ岬?(あとで「R」をらりるれろで読むのを聞いたので、ロカで良いようです)
ブラジルならリオはヒオだしね。

「ビリェーテ・ジ・ウンジア」(これも本国ではデ・ウンディアで良い様です。発音はスペイン語により近くてらくちん!)というのを使うと、1日乗り放題で12ユーロ。
これは駅の窓口で。
同じ内容で「ビバ・ヴィアージェン」というのが自動券売機で買える。
リチャージャブルで自動改札を通る事が出来るから、もしかしたらこちらの方が便利なのかもしれない。
ただし、カード代分割り増し。

列車はスピードがありかなり快適だが、シートが良くない。
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駅からシントラの中心部までは歩いてすぐだった。
途中にモウロの泉というのがあったので飲んでみた。
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嫌な成分ではないが、かなりな硬水だ。
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土地柄なのだろう。
王宮をぐるりとした後、
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ダス・メレンダス公園を登っていったらとても良い眺め!
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このままモウロの城まで登れるらしいんだけど、時間が足りず今回は途中で引き返す。

ドンピシャのタイミングで今度はロカ岬行き403番のバスに乗る。
岬に下っていくのはわくわくするものだ。

途中の景色はとても印象に残っているポルトガル映画の中の風景のようだった。
名前も粗筋も登場人物の顔も忘れてしまったが、景色だけがアタマに焼き付いている。ナントカ渓谷という…

やがて海が近くなると、植生が宮崎県南部海岸地域あたりと似てくる。
フェニックスやら椰子の木やら、はたまた針葉樹やら、温帯の樹木など、ごちゃ混ぜだ。


ロカ岬の景色は素晴らしいの一言。
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そよ風が吹き渡る。
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ヨーロッパ大陸最西端に位置する断崖絶壁、その上に立つ十字架のモニュメントなんて、出来過ぎだ。
誰が考えたんだろう?
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さて、次の目的地カスカイシュ行きのバスは中々やって来ない。
遅れも遅れ、50分後にバスはやって来た。
これでも次のバスよりはよっぽど早いから、やはりこれが目当ての便なのだろう。
ならばもっとゆっくりと岬をまわってればよかったな。
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ともかくバスは発車して終点っぽいところに到着した。
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ターミナルはショッピングモールに併設されている。
駅への道は相当にわかりづらいが、緑の階段を下りて上ってすぐって感じだ。
いったん電車に乗ったものの、水平線が見えて海岸は近そうだったので、もう一度駅を出てみた。
海へ近づいてみるとカスカイシュは中々に素晴らしいビーチリゾートだ。
太陽がまぶしい。
泳いでいる人もちらほら。
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午後3時の気温は23℃。
日本は急に寒くなって来たらしいけれど、ヨーロッパはまだまだ夏だ。
日本といっても首都圏、ヨーロッパといってもスペインポルトガル南部海岸地域ですけどね。
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終点のカイシュ・ド・ソドレ駅に到着。
実はずっと完全四度と完全五度のみで出来た音楽がアタマの中で
鳴り響いていました。
ソーッ、ソドレソドレーッて感じで。
バカだねー。

そうしてみれば、今回の旅の間中、現実には存在しないサルサの曲がずっとアタマの中で鳴り響いている。
これを楽譜に落とすなり、レコーディングするなりすれば、すなわち作曲という行為だ。
自分は、絵はうまく描けないが、絵描きは現実にない構図をくっきりとアタマの中に浮かべることが出来て、それを現実化出来る人って事なんだろうね。

こうしてブラブラと街を歩いていると様々な誘惑の罠が(笑)
薬。
マドリッドでは「マリワナ」としか声が掛からなかったけれど、ここリスボンは薬物のデパートって感じ。

まずきたのが「コカイン」
夏のライブで「エンジョイ・コカイン!ダイ・アウェイ!」というTシャツを着ていたから、この「コカイン」という言葉が特にアタマに響く。
次はやはり「マリワナ」。
さらに「ハッシッシ」。
有名大量に使われどころはこんなあたりなんじゃありませんか???
この24時間に十度は声掛かってるな。
隠れた麻薬大国ポルトガル恐るべし。
と、いうかヨーロッパは全体的に薬物に対して大らかなんだろうね。
全てOKはまずいだろうけれど、日本もマリワナくらいは必要に応じて解禁してもいいんじゃないかな。
使用量を加減すれば害もないわけだし。

セッテ・リオシュ(アナウンスでこう言ってた。ブラジルなら「セッチ・ヒオシュ」かな…?)ホドビアリア(これもじゃあ「ロドビアリア」でいいのか?)へ明日の切符を買いに行った。
切符売り場の人がとても気さくでバンバン日本語を使おうとしてくれる。
こういうのはマジ嬉しい。
セビージャまでの国債バスは35ユーロ。
もう一度なぜか別の切符売り場へ並んで本切符と交換する必要がある。
ちなみにメトロやコンボイ(鉄道)からバスターミナルへは行き方がわかりづらい。
鉄道の切符売り場を左にすり抜けるとバスターミナルへの入り口に到達出来る。

ヨーロッパはすべて控え目だ。
宿の表示もビルの入り口に小さく表示されているだけだったりする。
まあ街割りが整理されているから番号でたどり着けるし、いらないじゃん、って事なのだろう。
同じ様に駅やバスターミナルの所在がわかりづらい。
ポルトガルもスペインもわかりづらい。
こちらは何とかしてほしいよな。

ところでポルトガルでは駅構内での喫煙者が多い。
これは非常に残念なところ。
ロンドンもそうだったし、スペインもそうだったから公共の場所での喫煙に対しては残念ながら大らかなようだ、ヨーロッパ。

カンポリーデの駅でシントラ線は上り下りが同じホームなので迷わないように。


スペインもそうだったけれど、こうして首都を見ている限りにおいてはポルトガルも全てが満ち足りている感じだ。
鉄道も大変機能的。
食べ物も高くはない。
身なりはカジュアルだがきれいだ。
日本みたいな小国が世界第二位の地位にいるなんてそうそう有り得ないことなのだから、30位40位に落ちたとしてももしかしたら案外幸せなままなのかもしれない。
楽観的すぎるかな…。

切符も買った事だし、ロッシオ駅に戻って来てまた例のビール屋で一杯。
いくつか行ったけれど、やっぱここが1番良いビールでしかも安い。景色も良い。ロッシオ広場にそびえる塔が目の前だ。

夜。
ア・セベーラでファドを聴いている。
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これまたブラジリアンな感じ。
ショーロの匂いがする。
歌付きだけど。
すっきりとした和声やその進行、それにギター中心のアンサンブルなどがそう感じさせるのだろう。
リズムもすっきりとした4拍子だ。
ブラジルの白人音楽こうあるべし。
そんな感じでもある。
どちらがどちらに影響しているかだなんて、もう立証のしようもないのだろうけれど、やはり音楽は歴史と切り離せないんだろうな。
こうしてリスボンであちこちの音楽を聴いてみれば、フォルクローレから都市の音楽であるファド、それにヒット曲系の音楽まで全てがブラジルとつながっている感じだ。
面白いね。

受験生Hは今、オペラ歌手を目指しているけれど、本当に自分が充実する音楽の形はどのようなものなのだろうか。
大舞台で歌うアリアも良いだろう。
しかしファドみたいな観客と近いところの歌も同じように良いものだよ。
私は同じ人のライブを聴くならば極力小さいハコの時を選ぶようにしている。
というか、大ホールのはまず聴きにはいかない。
伝わるものが大きいのは、やはり近い距離での関係なんだよな。
そりゃ商業的に少ないお客さん相手では難しいかもしれないけれど、音楽家と観客がより反応し合えるのはやはり小さいハコだ。
彼女がこれからどういう道に進むのか知る由もないが、イタリアならカンツォーネも良いだろうし、大舞台志向ならポピュラー歌手という手もある。
歌い手のカバーする範囲は広い。
レコーディングやツアーをまわるプロ中のプロとしての活動も考えられるだろう。
言葉とノリが掴めるのならば、ジャズ、サルサ、ボッサノーヴァ、シャンソン、ファドもあればソンもあるし、演歌もロックもある。
オペラ歌手が親しみやすい曲を歌うライブなんて需要が多いかもしれない。
ま、色々と考えたら良いと思う。

ファドは出し物が次々に変わる。
器楽だけのステージもあった。
3拍子系の音楽もある。

歌い手をはじめ、すべて拡声なしの生であるが、歌手の声帯は厚ぼったく合わせている感じだ。
ちなみにヴィブラートは全くかけない人もいれば、逆に自分には不自然に聞こえるくらい細かく震わす人もいる。
何がベストなのかはわからないが、自分の感性にはストレートな方が好ましい。

バランスをとって受験生LOVEの事をいえば、彼女はオケがやりたいと言っていたけれど…いや、もちろんオケも良いと思う。
しかし集中講義後、やってみろとも言っていないのにドラムの前に座り中々離れなかった君の姿を忘れる事は出来ない。
本当の本当にはポピュラー好きなんじゃないか???
ま、オケの道に進むのを止めはしないよー。

あと一人。クラリネットのMがいるのだが、君もセンスは良いと思うよ。
また演奏を聴かせてください。