朝。快晴。
5時頃の街は静か。
活気を帯びてくるのは7時過ぎからだろうか。
7時ではレストランもガラガラ。
賑わい出すのは8時頃から。

ここの朝食もチープだった。
パンにコーヒーとオレンジジュースのみ。
これで別払いの人は120DHもするそうだ。
卵料理の設備は出ていたので、時間によっては卵付きなのだろう。しかし、いつ?
今日は8時半過ぎの一番賑わってそうな時間に来たんだけどな。


ところでこのマラケシュベルベルの言葉で「神の国」を意味するそうだ。
人口80万ちょいで、商都カサブランカ、首都ラバトに次いで大きい。
イスラムの版図は広いね。
古くはヨーロッパのスペイン南部からフィリピンの南部まで。
もちろんアフリカも。
ロッコの音楽にはおそらくカリブ海のそれと同じ様に西アフリカから連れて来られた黒人奴隷の影響が強いのではないだろうか。
そうとしか思えない特徴が、そのリズムにははっきりとある。
結局のところ、世の中に存在する面白そうなリズムは全て西アフリカに繋がっている感がある。

昨晩天気予報を見たら本日のマラケシュはなんと46℃。!
かつてこれほど高温なところに来たことはない。
太陽が真上ってわけではないので、陽が当たり尚始末が悪い。
いくら空気が乾いていても、これでは汗がひくことはない。

とはいえ外出。
まずはクトゥビアの後ろ。
観光バスがびっしりと停まっていたので、中へ入れるかと思いきや門は堅く閉ざされたままだった。

ジャマエルフナ。
日中はやはり蛇使いと猿回しが目立つ。
蛇使いはチャルメラを吹く。
器用な指の動き。

オレンジジュースはパスして1番のバスで新市街ギリーズへ。
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レストランでゴハンしてみた。
鶏のセットが25DH。
ハーブが香ばしい。
これがモロッコ料理の特徴か。
メニューを見て「P」から始まる肉は「Pork・・・豚」かと思ったら「鶏・・・Pollo」だった。
20100922pollo.jpg

フランス語というのは自分の目から見るとラテン語とゲルマン語のちゃんぽんだから、単語がどちらよりであるのかは常に悩ましいところ。
それにいイスラム圏で「豚肉ですか?」はないよなー(笑)

トマトも細かく刻まれて、オリーブオイル和えで出てくる。
それにフライドポテトとパン。
辛いソース付き。

飲み物は「レモナーダ」というのが清涼飲料を指すらしく「何にする?」と聞かれたのでコカコーラゼロを注文した。
なぜかもれなく炭酸水のペットボトル付き。
こちらは6DH。
いざ会計をしてみたら合計40DH。
どうやらあのサラダや炭酸水は別料金であったらしい。

帰り際にスーパーでビールを買う。
今回はフラッグピルス500mlとストークプレミエレ330ml。
しめて25DH。
先日のカサブランカ瓶とかよりずっと安いけれど、どちらもモルト100%だ。
フラッグピルスはさっぱりしている。
ミラーとか、そんなのと同系統の味。
20100922FlagPils%26Stork.jpg

夕方、またまたジャマエルフナ広場へ。
こんなにも広場に近いホテル、近さで選んで大正解だった。
気軽に何度でも出掛けて、休憩したくなったらすぐに部屋へと戻る事が出来る。
いくら音楽が好きで広場にずっといたくても、さすがに16時間とかいられないからねー。
こうして異なる時間帯にマメマメしく出掛けられるのは、とても便利な事なのである。

さて、広場の入り口に達するとモロッコに到着して以来、聞いた事のない激しいビートが聞こえてくる。
近づいてみると、今回のどこのミュージシャンたちより肌の色が黒い。
彼らもまたモロッコ人なのだろうか。
強烈に速い6/8拍子を複数の両面太鼓と複数の金属2連カスタネットのみで演奏する。
両面太鼓はバチ先が演奏者の方を向く、J字状に曲がったバチを2本使って演奏している。
太鼓もカスタネットも技術的にみれば単純なオルタネートの手順を繰り返しているに過ぎないのだが、やはりアウフタクトにリズムの重心を持っており強烈にスイングする。
ダンサーは飛んだり跳ねたりと元気が良い!
チップに対する執着心の強さからも、より黒い感じを受ける。
1056年に始まったマラケシュを首都とするムラービト朝は、セネガル出身のベルベル人を王としていたそうだから、そんなところからも西アフリカの人々が古くからマラケシュには移り住んでいるのかもしれない。
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20100922TamborDeMorroco2.jpg


夜。
当然ジャマエルフナ詣出。
三晩目ともなると、大体どこにどんな人のバンドが位置しているのか見当が付くようになる。
つまりは同じ顔ぶれだ。
メタルギロみたいな「タッタカタッタカ」したリズムにダラブーカ?(ジェンベみたいな)や大きな鈴なし響き線入りタンバリンをトゥンバオとして使う全くカリビアンなリズム。
これは2/2拍子。
しかし広場で圧倒的なシェアを誇るのは6/8拍子のリズムだ。
6/8とはいっても、3/4と混交したりする。
これもカリビアンなリズムと一緒の特徴。
ベネズエラあたりでよく聞かれるリズムと同じ感じのノリ。
3/4の3つめにアクセントが来る。
二拍子系でシンキージョ「タッカタッカタッ・タッカタッカタッ」。
これもまたカリビアンの典型だ。
ハイチやキューバ
2拍子でウラ拍を強調するリズムも黒人の典型だろう。
ロックみたいな。
6/8拍子にクラーベ感たっぷりのアクセントがのるリズムはハイチ−キューバ系。
6/8拍子に高音の太鼓で3つめと6つめに規則正しいリズムが入るのもある。
西アフリカから北アフリカからスペイン、そしてカリブ海世界と、音楽は歴史と同様に密接な関連を持っている。

民族音楽を賑やかに楽しみたいのなら、すっぱりとカリビアンなリズムでも良いのではないだろうか。
こうしてみると、それらには氾世界的に広がりどうやら優性なリズムのエッセンスが凝縮されている。

どこからかお囃子の笛のような音が聞こえてきた。
これはアジア的?

鈴なしシングル響き線入りのタンバリンが時折入れるエフェクトはティバレスのそれと音も役割も酷似している。
6つの太鼓を組み合わせて地べたに置いてあるキットは、何かの杯みたいに地面に向かって先細る不安定な格好をしている。
一つ弦の弓で弾く弦楽器は何というのだろうか。

ただ歌の節はブルースではなくイスラム的だ。
アンダルシア的ともいえる。
あるいは垢抜けないペンタトニック。

ベルベルカスタネット、カルカベ・・・欲しいなあ。
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