正直言って本日ネタ満載で何をアップするべきか本当に迷いましたが、迷った挙げ句こちらに決定!

「両刀遣い」

読譜が苦手なキーボード科の少年たちにはアドリブ演奏を主眼に様々なスケール、テンションコード、タッチや良いリズムをトレーニングしてもらっているのだが、たまには強制的に読譜させる。
音楽そのものは楽譜にあるわけではないが、楽譜が読める事が上達を助ける事も多い。
というか、楽譜が読める事は音楽を習うもののマナーだと思うからだ。
彼らは素晴らしいリズムで縦横無尽にコードバッキングやアドリブをする。
がしかし、譜面には弱い面がある。
それが読譜よりも、まずは本当に音楽を奏でられるようになってほしいという私の願いの結果でもある。

全く読まないよりはマシだろうと彼らには音符にカナを振ったり、指遣いの番号を楽譜に書き入れる事を許可している。
自分の経験から言えば、そういう努力の結果必ず音符そのものを読むようになるのである。
音を一般的にでも我流でも書き表す場合、システムは違えども似たようなアタマの働きのもとに表記されていると思う。

私は特異なピアノキャリアを積んだ。
13歳でクラシックピアノに目覚め、耳から入って楽器を弾くようになったから、自己流で始めた中1当時には低音部記号や架線の多い音符を読むのは超苦手だった。
しかしこれら嫌な音符にカナを振るなりなんなりしてとにかく根性で読み下しているうちに、半年足らずでほぼストレスなく読めるようになってしまったのである。
始めは独学だったから選曲もクラシックファンらしいものだった。
エリーゼのために」→「乙女の祈り」→「トルコ行進曲」→「軍隊ポロネーズ」→「月光」→「ラ・カンパネラ」・・・こんな感じで中2から習い始めるまでの一年を終えたものである。
無謀っちゃあ無謀だが、こんな歩みが今のキャリアの基礎となっているのは間違いない。

弾くのも一日に何時間も、休日ならば十何時間引き続ける事も珍しくはなかったが、クラシックピアノの音楽をとにかくよく聴いた。
実は一番好きなピアノ弾きは「リヒテル」だ。
あの音色はすごいぜ。
調律がいつも445kHz付近なのもニクいと思っていた。
しかし、ベートーベンなら鋼鉄のバックハウスショパンエチュードなら完璧のポリーニだ。
リストのハンガリー狂詩曲ならシフラだ。
バッハならグールドは当時の私には魅力的だった。
アンドレ・ワッツとか、黒人の弾くクラシックも好きだった。
アシュケナージホロビッツツィメルマン、ケンプ、グルダ、アラウ、シフ、二人のゼルキン、ニコライエワ、ハラシェビッチ、ダン・タイ・ソンバレンボイムブレンデル、ベロフ、ポゴレリッチ、ラーンキ、ルプー、イヴ・ナット、アルヘリッチ、サンソン・フランソワパスカル・ロジェルービンシュタインエッシェンバッハ、ギレリス・・・、日本人なら園田高弘内田光子仲道郁代中村紘子、宮沢明子、深沢亮子、小林道夫、神谷郁代、清水和音小山実稚恵、若林顕・・・もういちいち挙げきれないしすぐには思い出しきれないくらいとにかくわずか数年の間にありとあらゆる音源を聴いた。
もちろんたまには生も聴いた。
曲毎に徹底して様々なピアニストの演奏を聴いた。
いわゆる「名曲」は大好きだったから、それは今の自分が作曲する曲に結構反映されていたりもする。

クラシック曲にはアドリブにはない楽しみがある。


話が脱線しましたが・・・
両利きの彼は両手を器用に使い、一気に二つずつ音符の読みをふる!
YuhKeyboard20100704.jpg
この後の演奏・・・読みのフリは間違えていたくせに、正しい音を弾きやがった。
なぁんだ・・・やっぱりさー、実際に音符そのものが読めてるんじゃん!