ワールドミュージック聖典となるべき本を作り、それと共にパフォーマンスを通して様々な地域の音楽をみなさんと共有していきたいと思っています。
民族音楽を楽しむ企画は色々あるけれど、自分の視点はその音楽の持つ生命力。
伝播力の高い音楽は優性であるという認識のもとに、力を持つ音楽をご紹介して行きたいと思っています。

良い音楽には地域も伝統も関係ないと思う。
良いものは良いのである。

特定の音楽にコンプレックスを抱いている人は多いと思うけれど、例えばいわゆる「クラシック」という近世ヨーロッパに起こった音楽だって、世界を公平に見る視点からはワールドミュージックの一つに過ぎない。
もちろん西洋クラシック音楽は素晴らしいから世界に広まったものだと思う。
しかし広まった理由は音楽そのものから見たら不純な、政治的事柄の中にもある。
それもまた真実だろう。

この広い世界をザッと見て、ちからを持っているなと感じる音楽的要素は「アフリカのリズム」それに「ヨーロッパの和声」だろうか。
これらの他に高い伝播力を持つのは同じく「ヨーロッパの構成力」、「イスラムの何か」そんなところだろう。
それらが絶妙に混ざり合った音楽はちからを持つ。
例えば人種のるつぼ、ブラジルやキューバ、それから混ざり具合は違うけれど米国の音楽のうちには現在最高にちからを持つ音楽がある。

もちろん伝播力が劣勢な音楽のうちにだって様々に美しいものが含まれている事には疑いようがない。
それでも万人の心に響く音楽の在り方を追求するならば、その姿勢からは私たちにとって何か素晴らしいものを導き出す、より高い可能性が生まれ出てくるものと思う。

そんなスタンスで、しかしあくまで謙虚に世界の音楽を見つめて行きたいと思う。
真っさらな目で。


本論とは関係薄いが、ちなみに自分の見立てで日本の音楽が持つ優れた点は「間の取り方」「緩急のコントラスト」そんなところにあるように思う。