2002年1月パキスタンイスラム過激派によって誘拐、殺害されたウォールストリート・ジャーナル紙記者、ダニエル・パール氏の妻、マリエンヌ(キューバ系二世フランス人にして仏教徒)の、当該事件当時を綴った手記を読みました。

 確かにテロは許されない悪ですが、著者の無邪気な西欧的価値観絶対主義が気になって、私はこの本を気持ちよく読み通す事は出来ませんでした。

 彼女はイスラムのテロに対する米国の戦いについて、米国が善の側である事に全く疑いないようでした。
 しかし、歴史は連綿と続いていて、根はもっと深いのではないでしょうか。
 私には今の、イスラム社会対米国の戦いが、イスラムのスペイン侵攻、ヨーロッパの十字軍から連綿と続く動きのように感じられます。
 また、ここ六十数年の米国外交政策は、かなりな理不尽を押し通してきているなとも思っています。

 彼女は文明、人種間を繋ぐ架け橋となる仕事をしたいと語っていますが、それならイスラムやその他の地域の事をもっと尊重しなければならないと感じました。
 事件の被疑者、パキスタンムスリムへの拷問には目をつぶると受け取れる記述等々にはびっくりしました。
 彼女の言う「地球市民」という言葉も、無邪気にも考え無しに全世界の西欧化を目指しているように私には受け取れました。
 一般西洋人ならば仕方ないとして、ジャーナリストであるという彼女の、見識には少し悲観させられます。
 彼女は少しでも世界を良くしたいと願い頑張っていて、その姿勢には共感出来るのですが・・。
 オビに書いてあるような「感動の書」としては、とても私は読む事が出来ませんでしたけれど、はたしてみなさん感動するのでしょうか・・・。

 批判的な内容となってしまいましたが、最後に、善良な志を持ちながら不幸にして当該事件の犠牲者となってしまったダニエル・パール氏に哀悼の意を捧げ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
おんあぼきゃべいろしゃのうまかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたやうん
この世界にいつか真の平和が訪れますように。

DrumStudio LA FIESTA